お金のお話

日常生活ではタブーになりがちなお金の話を、堂々とむしろ積極的に語るブログです。

大企業は扱う金額の規模が大きいだけで、圧倒的に有利に意味不明な利益を得て、社員の給料を上げることができる。

マクロ経済学が想定している社会は、そこそこ大きい会社もあれば、そうでもない会社もあったりして、それぞれが競争している状況です。でも、現実は違います。実際には、とてつもない巨大な会社がいくつかあり、それには根本的に太刀打ちできない無数の企業があります。一般的に言うと巨大な会社の社員は給料が高いです。これは実感にあうと思います。ちゃんとした理由がいくつかあります。

その一つは規模の経済というやつでしょう。規模が大きくなればその分だけコストが下がるの通常です。たとえば、広告宣伝をしようとすると一定の固定費がかかりますが、大企業だと売上あたり(社員一人あたり)のコスト下げることが可能です。それによって画一的なサービスに妥協せざるを得ないリスクもありますが。

分業もその一つです。一人で会社をきりもりしていたら、経理も営業も商品開発も一人で行う必要があります。でも大きな会社になれば、それぞれがそれぞれの専門家が対応することになります。当然ながら効率があがりますね。それによって官僚機構になってしまい大企業病になってしまうというリスクもありますが。

経済学で想定しているのは、企業を大きくすることによりメリットデメリットがそれなりにあるという状況だと思います。でも規模を圧倒的に大きくする企業があると、訳のわからない強烈なメリットがでてきます。

僕が証券会社にいたときのこと事です。とある証券を売買するデスクのセールスがトレーダーにオファー(売値)をききました。

 

セールス「○○の100億円のオファーください。××銀行からです。」

トレーダー「100円12銭ね。」

セールス「決めていいですか?」

トレーダー「ダーン。」

セールス「100円15銭で決まりました!」

トレーダー「おお、ナイス!」

 

その証券は相対で取引されていてあまり流動性がないので、投資家の銀行は適切な価格がわかりません。その銀行はその証券を売りたいと思っていて、証券会社に売値をききました。トレーダーはある証券の売値を100円12銭と言いましたが、セールスは100円15銭だといいました。投資家はそれでも十分利益がでるので、その値段で売却することに決めたのです。

このセールスは100円12銭のところを100円15銭で売ったので、100円あたり3銭をちょろまかしたことになります。このちょろまかした分で一体これでいくら儲けたでしょう?答えは300万円です。ちょっと流動性がなく価格が不透明なだけで、ちょっとしたいい車が一台買えるくらいの儲けが出ました。

このような取引は証券会社では現実によくあることです。でも考えてみてください。流動性がない証券の値段をちょっとちょろまかしたことが、自動車一台買えるほどの付加価値をだしているでしょうか?だせてるわけないですよね。

これは100億円という巨額なトレードだからなし得たことです。ここまで大きい取引をすると100円あたり3銭という誤差にも近い価格差が、大きな違いをうむことになるのです。金融機関や商社が巨大なのは、規制産業や単純な規模の経済だけではないのです。圧倒的な巨大企業になることで巨額の取引を可能にし、それによってわけのわからない利益を生み出すことが出来るのです。