"気鋭の「男性学」専門家"の結婚に関する記事にがっかりした。
今週の週刊東洋経済のテーマは「生涯未婚」だった。僕自身30代後半で未だ独身なので興味深く読めた。
いろんな記事を読んでなんとなくまとめると、社会は昔とは変わってしまったのに、考え方は変えることができない故に、社会全体で適応障害を起こしているということなのだろう。
社会は昔とは変わってしまった事
- 男は仕事のことばかりで家のことはできない⇒いろいろと便利になって一人でもいける
- 女性は社会で長く働きづらい⇒雇用機会が平等化して女性が働きやすくなった
- 会社や周りからの結婚に対するプレッシャーがある⇒そんなことしたらセクハラといわれる
- 男は結婚しないとSEXが難しい⇒自由恋愛やAVなどの代替手段が高度化・多様化した
それぞれは、世の中が便利になったり、男女の権利が平等になったり、コンプライアンスが重要視されたり、より自由になったり、と社会的には前進しているように見える。でも、これらは全て人々を結婚から遠ざける動きであることは間違いない。
変えることのできない考え方
- 男は一人で家族を養えるように稼がなければならない。
それならそうと社会の変化に合わせて考え方をかえればいいだけの話なのかもしれないが、そうはいかないのが人間だ。やはり、男性間の収入格差は小さく男女間の収入格差は大きい社会から、多くの男性が働く女性と収入が大きく変わらない社会に変わったのだ、という事実を受け入れて、考え方を変えない限りは未婚率は改善できないのかもしれない。
ところで、その東洋経済の中にあった"気鋭の「男性学」専門家"の記事にたまげてしまった。彼は議論のなかで不倫について語るのだが、一部にこのような議論があった。
僕自身は不倫をしたこともなければ、する人の気持ちも理解できない。
え?不倫をする人の気持ちが理解できない?なんじゃそりゃ?
女の人にとっては不愉快だろうが、男は本能的に浮気性なのだ。どんなに素晴らしいパートナーがいても、そういった抗いがたい本能があるのは否定できない事実だと思う(参考:なぜ男は浮気をするのか?)。男が浮気をしないのは、そういう本能を制御する意思(道徳心が強い、バレるのが怖い、面倒さそうなど、理由はたくさんある)があるか、浮気をしようと思ってもできないかのどちらかだ。
誤解の無いように言っておくが、当然ながら、僕も不倫は悪いことだと思っている。だが、事実認定と価値判断は独立に議論すべきだ。彼がただ道徳心を振りかざして「不倫する人の気持ちがわからない。」というのなら、その人は自分の価値判断とは独立に物事を考えることができないということだろう。そんな人が事実を正しく評価して分析なんかできるだろうか。
逆に、本当に「不倫する人の気持ちがわからない。」のなら、一般的な男性の持つ感覚を理解する能力が著しく欠落していると言わざるを得ない。そのような人が「男性学」専門家で何を語るんだろうか。そんなの味覚が乏しい人が料理について語るようなものだ。
僕は男性で普通の感覚の持ち主だから、不倫をする人の気持ちは理解はできる。それは自分がするかどうかとは全く別の話だし、不倫をする人を容認するかどうかとも全く別の話だ。芸能人の不倫のバッシングが激しい中、不倫を容認するような発言をするのは難しいのかもしれないが、だからといってどうどうと「不倫する人の気持ちがわからない。」と"気鋭の「男性学」専門家"が言っていいものだろうか。