お金のお話

日常生活ではタブーになりがちなお金の話を、堂々とむしろ積極的に語るブログです。

マイナス金利なんて、僕らの現実的な世界にはほとんど影響を与えない、と思っていた。

2016年2月3日に日銀はマイナス金利の導入という追加緩和に踏み切りました。市場では予測されたかったことなので、かなりのサプライズで大騒ぎになりました。

 

www.newsweekjapan.jp

 

ところで、マイナス金利って実際にどんな効果があるのか考えてみました。マイナス金利とは僕らが銀行に預ける預金金利のことではありません。銀行が中央銀行に預ける当座預金の残高に対してかかる利息で、今まで+0.1%だったのが、-0.1%となるというものです。

 

vdata.nikkei.com

 

ただし、当座預金の残高の全てに適応されるわけではありません。当座預金の残高はおよそ250兆円ありますが、現在豚積みされている預金に対しては引き続き0.1%付利されます。これから積み増す部分の一部に-0.1%のペナルティーが課せられます。適応されるのは、おそらく年間にして30-50兆円くらいの残高になるだろうと言われています。

 

では、新しく積み上がるキャッシュを銀行はどうするでしょうか。追加で日銀の当座預金に積み増すと、利息がもらえないばかりか逆に取られてしまいます。

 

まず、簡単には株や外貨などのリスク資産を買うことはないと思います。日銀はバーゼル規制により、とれるリスクには制限があります。リスクのない日銀当座預金をリスクのありまくる株にバンバンふりわけたりしたら、すぐ制限に引っかかってしまうので、リスク管理上そんなことはできないでしょう。

 

ですので、同じ安全資産の国債にいきたいところですが、これも難しいでしょう。というのは、量的緩和により日銀にどんどん吸い取られているので、銀行が追加で買い増せる国債は市場にはあまりないのです。あることはあるんですが、それを見越して比較的満期の短い国債金利は軒並みにマイナスに沈みました。

 

だとすると、貸出にまわすでしょうか。資金が市中に出て、それがまわれば景気がよくなるというのが、ざっくり言って通常の金融緩和ですよね。だけど、残念ながらそれは起きないと見てます。理由は資金が行き渡らないのは、資金の供給側の問題ではなく、需要の方だと思うからです。金利が低かろうが、企業は資金を借りて新たな設備投資をしないなんて思ってないんです。もし、需要があるんだったら、量的緩和の時点で貸出が伸び、マネーサプライは増えまくったはずです。しかし、日銀がいくら量的緩和でマネタリーベースを増やそうが、マネーサプライはほとんど変化しませんでしたよね。需要がない限り、貸出なんて増えないと思います。

 

結局のところ銀行は、資金を振り分け先もなく、マイナス金利のまま当座預金に豚積みすることを甘受するのではないかと思ってます。

 

あらゆる金利が下がることによって、銀行株が下がったり、金利感応度の高い不動産株が上がったり、外貨との金利差が広がり円安に繋がり輸出企業株があがったりするでしょうが、逆に言うとそれくらいの短期的な変化しかないだろう・・・と僕はおもっていました。でも、今は違います。やっぱり重要な大きな変化が起きるのではないかと思ってきました。つづきは、また次回!